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傘寿も過ぎ気力・体力不足に悩む日々。旅もスキーも年貢の納め時かも。まだ少し残っている知力・気力・体力を使い何をしょうか?

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両神山 2009-9-19 (土 ) 曇り [山行記録2009年]


 天気予報では晴れということだが青空はどこにも見えない。山では楽しい快晴の日ばかりとはいかないが、それでも晴れればと期待するものだ。バスは飯能、秩父市内を通り小森川に沿った林道を走る。我々の乗っている中型バスの幅がギリギリの林道で運転手さんには気の毒だった。なんとか白井差(しろいさす)登山口へ到着。秋のシルバーウィーク初日だが、高速道路を使わなかったためか渋滞は無かった。それでも約3時間の乗車は秩父の山深さを感じる。

 この白井差の登山口に両神山白井差側の全山林を所有している山中氏のお宅がある。国立公園内の私有地ということで何十年間の国との葛藤の末、現在に至っている。もともとあった白井差からの登山道は廃止され、山中氏が独自で開き維持管理しているルートを登山者は事前申請により使用させていただくという形になっている。詳細はネットまたは、山と渓谷2007年10月号にも掲載されている。
要するに予めの予約と環境整備料(入山料)として1000円が必要ということです。  体操後、登山口出発―9:10。

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 林道から沢沿いの登山道に入るとまもなく昇竜の滝に到着―9:25。
水流も豊富で滝壺には魚影も見える。水も透き通っていて綺麗で、夏なら水浴びして涼みたいスポットだ。滝を右に見て登っていくとブナの自然林の中にジグザクに道が付けられている。だんだんと道も急になり、谷を挟み右の方に“のぞき岩”が見える。廃止された旧道は昇竜の滝の右手からこの“のぞき岩”の下を通っていたようだ。

 今日は総勢23名。最近、女性が多いので男性は肩身が狭いが、山中氏が案内人として同行しているためか女性の口数がやや少ない。登山道はキツ~イ急登も無く良く整備されていて歩きやすい。

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 山腹の急な道をジグザグに登ると頂上に続く稜線に出た。百名山の両神山山頂も間近だ。小さな岩場を少し登ると山頂に到着した―11:50。

 山頂は広くはないがここで昼食とする。雨の心配は無いが雲が多く視界は良くない。唯一の展望は八丁峠へ至るギザギザとした稜線だけ。晴天なら浅間山、八ヶ岳、北アルプス、富士山なども一望できるということだ。視界が悪くても山頂からの雄大な景色は心を穏やかにする。勿論、自力で登ったという達成感も影響している。

 山登りの魅力は山頂に凝縮されているとも言える。山は登るものではなく麓から眺めるものだと言う人には到底理解できないことだがね。しかし歳を重ねるに従い、山は眺めるものとなっていく現実を想像すると哀しい。

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P1030587.jpg 12:30 下山開始。
登って来た道を戻るだけだ。登った山は当たり前のことだが必ず降りなければばならない。世の中、大層便利になってロープウエイやケーブルカーを利用できる山もあるが、大抵は自分の足で降りることになる。
登りで苦労したほど登頂の悦びは大きい、・・がその分、また下りは辛いものだ。

 山は安易な便利さが無いのも魅力の一つかもしれない。また、頼れるのは自分の足だけというある種の緊張感や自己責任と言う言葉も心地よいものだ。

 途中、旨そうなナメコも生えていたがこの山林の所有者である山中氏が同行しているので採るわけにはいかない。無事、登山口到着―14:20。

 山中さんから登頂記念バッチを各人頂く。百名山好きの人にとっては貴重なバッチかもしれない。無事に下山出来た証拠でもある。山中さん、ご同行ありがとうございました。

 この白井差からの登山道は山中氏個人が開いたルートのためか安全で維持管理も行き届いている。高齢者やファミリー向けのコースだろう。また山中氏もそのようなコンセプトで開拓したようだ。単に百名山に登りたい人にとっても時間が短縮できありがたいコースかもしれない。反面、滝が一つあるだけで、総体的に変化の乏しい退屈なコースとなる。展望が無いぶん森林浴はタップリできるが・・・。このルートとは別に昇竜の滝から左方向に梵天尾根を目指すルートも開拓しているとのことだ。こちらは岩場もあり、季節によりお花も楽しめるという変化に富んだルートのようだ。

 個人的には八丁峠からのギザギザの稜線歩きか、明瞭な登山道が無い赤岩尾根経由などを機会があれば計画してみたいとも思う。



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西穂高岳~北穂高岳 (4/4) 2009-9-7 (月) 晴れ [山行記録2009年]


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P1030380.jpg 4時過ぎ起床。昨夜も小屋は超満員。布団1枚に付き2人だ。ところが丁度部屋の真ん中辺りを指定されていたためか右側布団2枚が誰も来ない。お陰で大の字になりグッスリと眠れた。体調も良し。天候も快晴。今日は槍ヶ岳山荘泊まりと、何の疑いも無く出発。



 このルートは登山者も多く、過去にも幾度か通っている。また、西穂~奥穂間と比べると体調、天候以外は何の不安要素も無い。―5:00出発。

 のんびり歩いても午後2時頃には槍ヶ岳山荘に着くと確信していたので、山荘を出て涸沢岳直下でのんびりとご来光を眺めた。雲海の上に少し飛び出しているピークは浅間山辺りかもしれない。その右肩から一瞬小さな光源が出現した。久し振りに眺めた素晴らしいご来光だ。富士山も前穂高岳北尾根、南アルプスの奥に遠望できる。今日も安全に歩けますようにと自然に手を合わせたものだ。

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 ↑ 左が涸沢槍、真ん中は大キレットから南岳、槍ヶ岳、右は北穂高岳南峰と北峰。これぞまさしく圧巻、絶景コメントなぁ~し。

  ↓ 左から北尾根、前穂高岳、赤い屋根の穂高岳山荘、奥穂高岳、ロバの耳・ジャンダルムの稜線、右奥に焼岳も見える。
これも同じく圧巻、絶景コメントなぁ~し。

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 ↑ ロバの耳、ジャンダルムの頭に朝日が当たって輝いている。数日後、このロバの耳で遭難者を収容に来たヘリが岩に触れて崖下に墜落し、搭乗員三名の死者が出た。飛騨側は数百メーター切れ落ちている箇所でガスも発生し易くレスキューも命がけだ。ここに謹んでご冥福をお祈りいたします。
朝景色を充分堪能した後、槍ヶ岳を目指し出発する。

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 ↑ 滝谷D沢のコルから俯瞰した北尾根。涸沢岳からD沢のコルまでは鎖も多く梯子もあるので周りの景色を楽しみながらルンルン気分で下降する。涸沢槍を滝谷側から巻いて登り信州側の稜線に出る。
第5尾根の頭を過ぎ飛騨側からドームへ。

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  ↑ 第4尾根、ツルム、C沢右俣奥壁、グレポン、ドームと続く滝谷の核心部だ。北西面になるため日当たりが悪く陰惨な影を落としている。大昔、偵察のため松濤岩と北峰の間からC沢左俣を下降したが落石におののき第2尾根を一目散に退散した。結局、滝谷はB沢アプローチのクラック尾根と第一尾根、偵察目的での第二尾根をを登っただけで終わった。滝谷は第2尾根を境として涸沢岳寄りはとってもオッソロシイです。

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  ↑ 北穂南峰のチムニーが見えてきた。チョックストーンの風景は今も昔も変わらない。この辺りは地形的にもたいへん懐かしいところだ。高度感もあり岩稜歩きを存分に楽しむ。ドームは涸沢側を巻く。
↓ 振り返ればジャンダルム、奥穂から白出乗越への稜線が素晴らしい。

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 ↑ 北穂の山頂も間近に迫る。稜線は第一尾根、クラック尾根から大キレットに続く。ルートはドームを過ぎて滝谷側C沢上部を巻き南峰直下を涸沢側に降りる。

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 ↑ 北穂高岳北峰と涸沢の分岐に到着。岩稜の楽しみもここまで。 ↑ 北穂高岳北峰の山頂が見える。緊張感が無くなったためか、足の両小指の痛さに気が付いた。北穂小屋で靴を脱いで点検しょうと気にもせず登る。

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 ↑ 北穂高岳山頂着―7:50。
時間も充分余裕があるので靴を脱いで足を見た。両小指が真っ赤になって爪の間から血が出ている。足の裏も数カ所皮が白くなり膨らんでいる。アプローチシューズはいつも履いている登山靴より幾分小さいため小指を圧迫したようだ。
また、靴底が柔らかいためにマメもできていた。

 まずは穂高山荘で作ってもらった朝弁当で朝食。酢飯で美味しかった。また、北穂小屋でミカンの缶詰を買って食べたがフント旨かった。

 タップリ休憩した後、靴を履き直したが、ギョエェェェー・・・。
イテテテテ・・・。クッシュンです。この瞬間に槍ヶ岳は諦めて下山することにした。多分、槍ヶ岳までは痛さを我慢すれば何とかなるでしょう。
・・・が明日の槍沢の下降を考えるとヤバイ。ここから上高地まで標準タイムで7時間程度。足を引きずりながらでも8時間もあれば充分。
となると、ここからはいつもの軟弱登山が顔を出すのは当然。

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 ↑ 来た道を振り返るとドームの北壁、西壁と中央稜が迫ってくる。近くには第二尾根、P2フランケ。遠くにはジャンダルム、ロバの耳が懐かしい。

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 ↑ 吊り尾根を挟み前穂高岳と奥穂高岳。涸沢上部にはまだ雪渓が残っている。
 
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P1030485.jpg ↑ 小屋直下の北壁から大キレット南岳、槍ヶ岳と続く稜線が絶景だ。昔、北穂小屋直下の雪壁の怖かったこと、滝谷B沢からの下降とクラック尾根、第一尾根の登攀・・・など青春時代を想う。

 ← 飛騨側には大きな壁のような笠ヶ岳・・・大昔、お正月に苦労してラッセルしたこともあったっけ。

 ここはMy great memorial mountaintop なのだ。感傷に浸ってる場合ではない。明るいうちに下山して上高地からバスで沢渡までいかなくっちゃ。
9時前に下山開始。

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 ↑ 北穂の東稜だ。このゴジラの背から見える涸沢の風景は格別だろうなぁー。画像ではロープを張ってトラバースしている。単独じゃちょっと怖い・・・。
誰か同行してくれないかなぁー。年寄りの我が儘に付き合ってくれる人もいないようだ。ネー、Aaa さん!
 
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 ↑ 前穂北尾根だ。どうして北尾根は頭から1,2,3 峰と名付けているのだろうか?北鎌尾根は千丈沢出合いからP1,2,3・・・山頂近くでP15だ。剣岳の八ツ峰も下から1,2,3・・・峰と名付けられているのに? まぁー、エエか。北穂山頂から約2時間ほどで涸沢だ。懐かしくて涙が出そう。

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 ↑ 昨日から岩、岩、岩・・・だったので緑が目に染みる。
↓ 涸沢槍は滝谷側を大きく巻くので稜線上からは良く解らない。雪の無いのが少し寂しいが素晴らしい風景色だ。涸沢小屋着―11:00。

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P1030546.jpg 足のマメが潰れたようだ。靴ひもを締め付ければ小指が圧迫されて痛いし、緩めれば足の裏のマメが痛む。ハムレットの心境だネ。アプローチシューズのデメリットがもろに出たようだ。

 涸沢から最後に穂高を見上げた時は涙が滲んだ。ここもあたしにとっては最高のメモリアルポイントだったのだ。

 北穂からは緊張する箇所も無かったし天気も最高なのでのんびりとハイキング気分で降りてきた。景色も最高なので一時は足の痛みも忘れる。
しかし痛い・・ (>_<) まいった・・・。

 ↑ 横尾から見た屏風岩。逆光のためか下手なのか、ダメ写真。この岩は何故か全く縁がなかった。当時のあたしのレベルでは手も足も出なかっただけのことだがネ。天気も体調も景色も申し分なし。ただ、足が痛いだけ。色々と考え事をしなから歩き、気を紛らわして痛みを忘れるようにする。
しかし、マメってフント痛いもんだ。ここからは緩やかな下りになるので少しは楽だと心の中でモグモグ、モヤモヤ。

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 ↑ 明神岳だ。穂高岳と比べるとマイナーなのは否めない。岩壁登攀ルートもあるが滝谷、奥又白、屏風岩とは比較にならない。山頂での前穂から奥穂、西穂の展望はスゴイと思うし静かなことこの上なしだろう。
但し、一般登山道は無い筈だが・・・。岩も脆いので冬の前穂へのバリエーションルートとして時々登られるようだ。

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 徳本峠への分岐を過ぎる。大昔し、徳本峠の朽ち果てそうな小屋で漬け物とお茶を頂いた。穂高を見ながら炬燵に入って暫しのんびりとしたものだ。100円札を置いて出発しょうとすると、おばあさんがお金はいいよと受け取らなかった。あの優しいおばあさんも今は鬼籍の人と思うとなんだか淋しい。あの時一緒だったT君は・・・。人生、一期一会・・・。ようやく上高地に到着―16:50。

 足の痛さは生きてる証拠なぁーんてほざきながら痛さを我慢してきたが小さな小石を踏んだだけでもスギーンと痛んだ。河童橋から見た穂高はガスが掛かっていた。3日間の好天はフントありがたかったね。

 上高地バスターミナル17:20 発沢渡行きの最終バスに余裕で間に合った。下山途中でアミノバイタルやヨウカンなどの非常食を食べていたが沢渡駐車場に着いた時は腹ペコで死にそう。食堂でトロロそばを食べたが美味かった。高速道路も空いていて―22:30 帰宅。
感謝、感謝・・・。

 北穂高岳から降りてきて良かった。槍ヶ岳まで行ってたら足の痛みのため横尾辺りでもう一泊となったかもしれない。まぁー、この三日間良く頑張ったので自分で自分を誉めてあげた。

 色々と反省点はある。アプローチシューズは長時間荷物を背負って歩く場合は不適だ。岩場の登下降は最適だが今回のコースでは普通の登山靴でもテクニカル的には何の問題も無いように思えた。

 次に間ノ岳下降時におけるルートファインティングミス。これは致命的なミスだと思う。ソロのクライムダウンに自信を持っていたため強引に降りてしまったが、あれほど浮き石が多いとは・・・後で、ぞぉ~~~っとした。浮き石抱えて墜落死なぁーんて、そりゃ、汗も出ますがなぁー。

 もう一つある。天狗岳の下降時、先行パーティが下降していたので途中の狭いテラスで待機していた。周りの景色を見るため足の向きを変えたが、一瞬バランスを崩し滑落しそうになった。一瞬のことなので記憶が鮮明でないが滑落する時はそんなものかもしれない。気が抜けてホゲーとしていたのだろう。

 最近、クレヨンしんちゃんで有名な漫画家である臼井さんが荒船山の艫岩でカメラ撮影中に墜落したが、本人は死ぬような危険なことをしているとは夢にも思ってなかったはずだ。他人が見ていたら冷やヒヤものだったかもしれない。謹んでお悔やみ申し上げます。山での危険な行為は自分では気が付かないケースがあるのかも。オッソロしぃぃ~。単独の場合、時々気が緩むのかもしれない。声を掛け合って注意を促す相手がいないためだ。これが単独行の怖さなのか???

 今回は体力的、技術的にはなんら問題無かったが今ひとつ慎重さが欠けたのが残念だ。 小さな反省点は多々あるが、まぁー、あたしの山登りはこんなものだろう。いいではあ~~りませぬか。反省ばかりしていては登れないもんネ。

 西穂~奥穂間は思ったより鎖が多く興醒めの箇所もあったが、ペンキ印はもう少し欲しいと感じた。奥穂~北穂間は天気が良ければ誰でも行けるほどの鎖と梯子がある。これはこれで良いのだろう。お天気にも恵まれ無事下山でき感謝、感謝だ。生きてるだけで儲けもの・・・・・



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西穂高岳~北穂高岳 (3/4) 2009-9-6 (日) 晴れ [山行記録2009年]


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P1030263.jpg 天狗のコルでも大休憩。標準コースタイムをクリヤーしているし、天候も申し分なし、体調もまぁまぁということになれば急ぐこともあるまい。コブ尾根の頭を目指し出発。

 天狗のコルからコブ尾根の頭までは300㍍の急登だが快適な岩稜歩きが楽しめる。西穂高~奥穂高間で一番楽しめた。主に飛騨側にルートはついているがトラバースやルンゼもあり実に気分が良い。高度感はあるがスタンス、ホールドが大きくてしっかりしているし、ペンキ印を大きく外さない限りどこを登っても大差ないと言う感じだ。


 どこが畳岩の頭か解らなかったが、多分、信州側に大きくスラブが広がっていた辺りかもしれない。

 登り一辺倒だから心中穏やかなもんだ。周りを見渡しても岩、岩、岩。ポツンと佇んでいる自分を上空から確かめると痛快だろうなぁー。決して単独行を奨める訳ではないが、この快感は心細さを補っても充分余りあるものだ。

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P1030281.jpg 途中で二羽の雷鳥に出会った。ガスが出てきたので岩の間から這い出てきたようだ。雷鳥には孤独さを感じる。群れをなしている訳でもなく飛ぶのもあまり上手ではない。好天時はワシ・タカ等を避けるためか岩陰に隠れていて見れない。厳冬期の吹雪の中でも高所で生活している。我慢強い、イコール孤独、まるであたしのようだネ。

人間を全く気にしていない様子だが、驚かさないよう静かに立ち去った。お尻の方に白い冬毛が出ていた。もう一ヶ月もすれば初雪が訪れる。

P1030283.jpg 快適な岩稜帯を過ぎ信州側の広いガラ場に出るとコブ尾根の頭が正面に見えた。ズングリとした恰好でジャンダルムと間違えそうだ。ジャンダルムはコブ尾根の頭に上がれば見えるはず。

コブ尾根の頭への登りは正直ツラかった。丁度、疲れがピークになってきたようだ。

 昨夜、西穂山荘で、あわよくば北穂小屋まで・・・なぁーんて愚考していたが、なんのなんのバテバテもエエとこだ。雷鳥を見た頃よりガスが出始めた。時々濃くなり、午後の雷が少し心配になってきた。

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P1030296.jpg コブ尾根の頭に到着。真正面にデーンとジャンダルムが佇んでいる。コブ尾根の頭は大きな岩の広場になっていて、頭というよりジャンダルムに続く台地のようだ。少し下ったところがジャンダルムとのコルになる。コルにザックをデポして空身でジャンダルムに登る。分岐があり、右がロバの耳方向、左がジャンダルムの頭へのルートだ。

 分岐から左へトラバースして右上に登るが落石と浮き石にさえ注意さえすればハイキングのようなものだ。あっけなくジャンダルムの頭に到着―12:05。

P1030304.jpg ジャンダルムの頭からの展望・・・ウ・ウ・ウ・ゥゥゥ~~。
今回の山行で一番楽しみにしていたのだが・・・周り全面的に真っ白け (Θ oΘ ;) 仕方ないので自分の写真をUPしておくことにする。3163㍍の標高とはスゲー。立派な頂上だね。

 早々に分岐まで下降して進路を右へ。岳沢側の基部をトラバースするが高度感が素晴らしい。スタンスも狭く悪天時、岩が濡れていると怖そうだ。回り込んで見上げると全く違った形に見える。ジャンダルムとロバの耳は場所により色々と山容を変えるので面白い。


 最高のポイントはやはり一時間後ぐらいに通過予定の馬ノ背あたりだろうから、何とかガスが晴れて欲しい。

 正面にペンキで×印があり奥穂側からの直登ルートのようだ。簡単そうなので今度逆縦走した時には登りたいものだ。下降は絶対に嫌だね。高度感がスゴイので怖い・・・。

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 ↑ ここからロバの耳基部までは痩せた岩稜だがガスのためか高度感は感じない。

  ← ロバの耳の岩峰は左上へ飛騨側を巻くように登っていくが爽快さを感じる場所だ。

 いよいよロバの耳の下降だ。飛騨側を巻くように下降するが、上部は鎖も少なく傾斜も強いので一気に緊張感が走る。

P1030309.jpg ←↓ 慎重に下れば問題ないのだが、クライムダウンで後ろ向きのため下のスタンスが見つけにくい。ルートは自然に導かれるままで間違いにくい。長い岩棚のトラバースは高度感満点だが足場が広いので楽しい。下部は鎖もあり、スタンスが乏しいところはピンなどが打ち込まれていて上部より楽だった。


 下り終えて下から見上げるとスゲー迫力だ。ガスのため見え隠れしているが頭上にオーバーハングがのしかかってくる。耳が二つあるのは解るが、ピーンと立っているのでロバの耳?。

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 ↑ この辺りはまるで岩の墓場という雰囲気を醸し出している。ガスも流れていて最高のシチュエーションだ。ロバの耳の岩峰を下り終えて狭い岩稜を辿る。馬の背手前のコルでガスの晴れ間を30分ほど待った。ロバの耳とジャンダルムの絶好の撮影ポイントなのだ。今日の泊まりは穂高岳山荘と決定しているので急ぐこともあるまい。

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 ↑ 一瞬、ガスが切れたので撮ったのがこの画像・・・これが精一杯だった。右がジャンダルム、左がロバの耳。ジャンダルムのルートは裏側の信州側をトラバースする。ロバの耳の下降ルートは岩峰の裏側飛騨側に付いている。これで心置きなく馬ノ背へと歩める。

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 馬ノ背は細いナイフ・エッジの切り立った岩稜だ。右も左もスッパリと切れ落ちていて高度感満点且つ爽快だ。まぁー、登りだから大口叩けるが逆の下りなら少し怖そうだ。

  ↑ 馬ノ背のテッペンに人が立っている。基部にも人が見える。登る高さはせいぜい20㍍ほどだが、狭い岩稜で両側が感覚的には数百㍍切れ落ちているため緊張するのだ。鎖はないがホールド、スタンスがデッカイので見た目ほどの難しさはない。上部も風が無く岩も濡れてなければ立って歩ける。少し怖かったがネ。少しでもバランス崩せば、あっという間に楽園行き特急列車ご乗車になりなねない。クワバラ、桑原! 

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P1030348.jpg ← 馬ノ背最上部から下を見下ろすと怖いぃ~。
矢印のところに人がいる。ガスで周りが何も見えない時はあまり高度感を感じ無いが、一部ガスが切れて下が見通せた時は逆に高度感が増すように感じる。ロバの耳の下降時もそんな感じがした。この辺り、強風時や岩が濡れていると恰好悪いが匍匐前進ということになりそうだ。

 最後の難関も今回は楽しみながら通過できたのでエエかった。
ちょっぴり怖かったけれど・・・
(・_・;)

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 後は、緩やかな登山道を奥穂高に向けのんびり歩くだけ。
何十年ぶりかの奥穂高岳到着―14:10。

 相変わらずガスのため視界不良。心地よい達成感、満足感、安堵感などを感じながら白出のコルに建つ穂高岳山荘へ。山荘着―15:05。



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西穂高岳~北穂高岳 (2/4) 2009-9-6 (日) 晴れ [山行記録2009年]


P1030130.jpg 朝3時半起床。ご来光を眺めるためか、既に起きて出発の準備をしている人も多い。今日は朝食も昼食も山小屋で作ってもらったお弁当だ。飲料水も3リッターほど持っているのでザックが重い。

 予定は午後2時頃穂高山荘着と考えている。4時過ぎに出発。風が冷たくて強いが空は星も見え好天のようだ。ヘッデンを点けてハイマツの間の道を登るとやがて丸山のピークに着く。まだ真っ暗なので早々に独標に向けて広い尾根を登る。緩やかな斜面をジグザグに登ると岩がゴロゴロとした道になり、独標の大きな岩峰が見えだした。
独標到着―5:00。

 夜明け前の空に白い満月が浮かぶ。頂きには10人ほどの登山者がご来光を待っている。20分ほど待っていたがお日様も出てきそうにないので西穂高岳に向けて出発する。ここからは小さなピークが連続するのでどこでもご来光を眺められるはずだ。

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 独標から西穂高岳まで大小13のピークの登下降があるとガイドブックに書いてあった。あたしも独標から奥穂は未知の領域だ。単独だし慎重な行動が必要だ。独標から少し下降したところの小さなピークで夜が明けた。振り返ってみれば独標の頂きに数人の登山者が見え、焼岳、乗鞍岳も俯瞰でき最高の展望を満喫する。

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P1030142.jpg 朝の光が眩しい。太陽が出ると身も心も夜から昼にリセットされた。振り返れば独標の向こうに霞沢岳も見え圧巻、絶景コメントなぁ~~し。楽しい岩稜歩きの始まりだ。靴はファイブ・テンのイプサムガイドを履いてきた。岩稜にはアプローチシューズが最適のチョイスと足取りも軽く踏み出す。後日、この靴で悲惨な目に遭うのだが・・・(ーιー ;;;

 前方いくつかの小さなピークの奥にはピラミッドピークから西穂高岳、間ノ岳、天狗岳へと大きな鋭いピークが連なっている。

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 いくつかの鋭い岩峰を超えるとやがてピラミッドピークに到着―5:50。
ピークからはピラミダルな西穂高岳が正面に望まれる。ほぼ稜線通しに岩稜を辿るがそのうち飛騨側を巻く。最後の登りはさすがに年寄りにはキツ~イ。鎖場を登ると西穂高岳山頂に到着―6:40。

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P1030171.jpg 山頂は狭いが高度感もあり、圧巻、絶景。飛騨側には大きな笠ヶ岳、振り返れば見事な山稜が焼岳に続いている。眼下には上高地、大正池。梓川を挟み霞沢岳。
前方には奥穂高と前穂高の吊り尾根が迫り、遠くには槍ヶ岳、また双六岳、薬師岳方面も遠望できる。なんとも言えない贅沢な絶景だ。素晴らしい眺めを充分楽しませてもらったあと下降を始める。

 時々見かける登山者はヘルメット姿が多い。安全上、持ってきたほうが良いが嵩張るので持ってこなかった。

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 前方に間ノ岳、天狗岳の壁が迫ってくる。西穂から間ノ岳手前のコルまでは小ピークの登下降をしながら下る。これまでと違い、整備された登山道は無い。踏み跡というより岩にペンキ印がところどころに付いているだけ。ナイフエッジ、高度感のあるトラバースもあり楽しい。鎖も充分ではないが、ところどころにある。特に難しい箇所は無いが岩稜下降のため高度感が素晴らしい。

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 間ノ岳の登りは赤茶けた風化の激しい傾斜の強い沢状のところを登る。浮き石、落石には気を使うところだ。頂上直下で飛騨側の赤茶けたガラガラのルンゼを急登し山頂へ出る。山頂といっても岩に白ペンキで間ノ岳と書いてあるだけ。消えかかっているため注意しないと見逃すかもしれない。
↑ 左上は間ノ岳から振り返って見た西穂高岳。

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 いよいよ間ノ岳の下降だ。前半最大の難所と言われているようだ。
↑ 下降途中から見上げた間ノ岳。この辺りはほぼ稜線通しに下降するが高度感もあり楽しめる。

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 ↑ 間ノ岳からの下降。本来は真ん中辺りがルートになっている。ここでルートファインティングを誤った。最終ピークを超えた辺りからから下降してしまった。途中でおかしいと気付いたがホールド、スタンスが沢山あるので下降を続けた。

 途中、冬山用の懸垂下降の支点が数カ所あった。そのうち浮き石だらけで冷や汗をかいたが無事に間天のコルに着地。傾斜は強かったが、ガバのスタンス、ホールドに助けられた。浮き石に乗った時はヒャーとしたね。
「ここで落ちるわけにはいけん。」 なぁーんて・・・。

 単独のクライムダウンはルートを外しやすいので要注意だ。高度感もあったため、今回の山行で一番怖かった。もっとも下降時は必死だから怖いもクソもなかったが・・・。
コルから見上げてゾーっとした ヽ(;´o`)ノ

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 ↑ 天狗岳から畳岩尾根ノ頭、コブ尾根ノ頭と続く山稜。天狗岳の登りは逆層のスラブだ。岩も乾いているしアプローチシューズを履いているので全く不安感は無い。スラブの最上部は鎖を使ったが見た目より易しいところだ。

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P1030235.jpg 逆層スラブを登り、信州側のガラ場を詰めると天狗岳の山頂に到着―9:20。

 ここまで来れば奥穂高岳も近い。大休憩後天狗のコルへ下降開始。ここもルートを見失いやすい。岩稜を真っ直ぐ行き過ぎると切れ落ちている。ペンキの印があるところの飛騨側にルートがあった。ところどころに鎖がありコルへ下降している。

 全面的に鎖に頼るような箇所もあり、結構嫌なところだ。何だかんだと言ってもやはり鎖はありがたいが。天狗のコルに無事着地―9:50。

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 天狗のコルには避難小屋後跡がありテントも二張りは張れそうだ。天狗沢を下り岳沢から上高地にエスケープできるが一般ルートとしては厳しそうだ。雪渓が消えても上部はかなり傾斜の強いガラ場だ。天候が崩れそうな時、岳沢にエスケープするか、奥穂を目指すか、かなり微妙な選択を強いられるかもしれない。ここが丁度、西穂~奥穂の中間点になり標識も西穂高岳・天狗のコル・奥穂高岳と表示されている。

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 ↑ 天狗岳山頂から見た畳岩尾根ノ頭。



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西穂高岳~北穂高岳 (1/4) 2009-9-5 (土) 晴れ [山行記録2009年]


P1030065.jpg 最近、クライミングに傾倒気味だったので自然な山への欲求不満が溜まっていた。
天気予報に注意していたが、9/5から数日間は好天が続く予報。まだ夏山の雰囲気を味わえそうなので善は急げだ。
出かけてしまえば何とかなる。

 手っ取り早く岩稜を楽しむには穂高が最高だ。アプローチも楽だしね。

 西穂~奥穂の縦走か北穂東稜かと考えたが東稜の場合一人でゴジラの背のトラバースは怖い。右から巻いてしまうのも芸が無い。必然的に西穂~奥穂の縦走となるのも否めない。

P1030064.jpg 大昔は滝谷や奥又白にギラギラした目を向けていたためか、西穂~奥穂など考えたことも無かったようだ。今は西穂~奥穂でさえ少々荷が重い気もする。一泊予定なら一日目は涸沢経由で穂高山荘泊まり。二日目は奥穂~西穂~上高地となるがあたしの歳では・・・・・。ゆっくり楽しむには二泊か三泊がエエ。二泊なら西穂~北穂まで、三泊なら西穂~槍まで行ける。

 まぁー、出たとこ勝負、体調、天候次第、気負いもなし。そんなこと考えながら兎に角出発した。

P1030067.jpg 自宅出発―3:50。松本ICから沢渡へ。沢渡からバスで上高地―8:10。
久し振りの上高地だ。三十何年ぶりか?。大昔のことは忘れてしまったので新鮮な感じがする。河童橋で西穂の山稜や岳沢などを眺めていると懐かしさでウルウルとなる。この美しい風景は昔も今も変わらない。日本の貴重な山岳風景だ。この時点でいつものように軟弱登山となる。

 当然、今日の行動予定は西穂山荘までと決定。充分に景色を堪能した後、梓川左岸の遊歩道を西穂高岳登山口へ向かう。

P1030075.jpg 途中で見る梓川、焼岳の風景も楽しい。天気も良いしウキウキとしたハイキング気分だ。田代橋を渡り西穂高岳登山口に到着―9:00。

 登山口で登山届けを書きいよいよ出発となる。この時点でもあわよくば槍ヶ岳まで行きたいなぁー、なんて思っていたからオメデタイものだ。

 整備された登山道をひたすら登る。樹林帯で風も無く暑くて堪らない。結構キツイ登りだ。何十年前にも二度登っているが全く記憶にない。時々、木の間に焼岳の特異な姿や霞沢岳も見える。

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P1030102.jpg いつもの日帰り山行より少し荷が重い。ザックの重さは10Kgを超えているかもしれない。ツェルト、コンロ、シュラフカバー、非常用飲料水と食料等の緊急ビバーク装備、またデイジーチェーン、スリング、安全環付きカラビナなどの岩場でのセルフビレー装備は当然としても 、3~4日の小屋泊まり山行となると快適に過ごすためには多少の荷重はやむを得ない。

 テント山行と比べると比較にならないほど軽いが、長時間担ぐとなるとあたしの歳ではキツゥ~~イ。樹林帯も終わり、ようやく焼岳への分岐に到着。
一服後、ひと登りして西穂山荘着―12:10。

 樹林帯の登りで展望もなかったためか、ただひたすら登ってしまった。明日からはもっとゆっくり歩くことにしょう。高速道路のSAで朝食を摂った後、殆ど何も口にしていなかったためお腹が空いていた。コンビニで調達したオニギリで質素な昼食を済ます。小屋の前はお昼時のためか人で溢れかえっていた。新穂高ロープウェイ利用だと西穂高岳の日帰りも可能だ。若い男女も結構見受けられるが、やはりおじさん、おばさんの世界だ。

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 9月に入ったというのに混んでいる。宿泊の手続きをしたが布団1枚につき1.5人だ。昔懐かしい山小屋風景を想い出す。好天で土曜日なのでやむを得ないことなのだろう。

 この山荘に初めて泊まったのは確かあたしが二十歳の頃だった。恐るべし、40数年前のことだ。7月の終わり頃と記憶しているがガラガラだった。彼女と二人で個室に泊まれた。(大昔の事なのでカミシャンには勘弁して貰うことにする・・・)別に希望した訳ではなかったが小屋番さんから「どうぞ」と言われた覚えがある。この時代はまだロープウェイも無く静かなのんびりとした山小屋だった。河童橋から約3時間半だから現在のようにロープウェイで手軽にと言う訳にはいかなかった。トイレや洗面所も屋外だった。夜の満点の星をまだ覚えている。

 夕食まで時間もタップリあるため、明日に備えて昼寝をする。暑くも寒くも無く早朝の運転疲れもあったので一時間ほど熟睡できた。明日の飲料水も確保し装備も点検。後は夕食まで山荘前のベンチでホゲーと過ごした。

 記憶というものは曖昧なものだし、夢のようなはかないものでもある。古い日の山々・・・。楽しいこと、ツライこと、哀しいこと・・色々あったが一つ一つ想い出すには億劫な感じがする。ただ、暇さえあれば山に入る生活だったようだ。山に入っていれば満足かと問われればそうでも無かった。だだ、山の中では何の不足も感じない気持ちに浸れた。紛れもなく体験した純粋な不可思議な青春時代を想い夕焼けの空に昔を偲ぶ。

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藤坂ロックガーデン 2009-8-27 (木 ) 晴れ [山行記録2009年]


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P1030036.jpg 今月2回目の藤坂RGだ。達人のAさんと一緒です。朝から夏らしい素晴らしいお天気だ。近くにハイキングコースが無いためか実に静かな環境なのだ。ジージーと泣くセミの声が少しうるさいが、夏の終わりらしくて風情がある。今日も二人で岩場を独占だ。
ビレーしながら天を仰ぐと真っ青な空に雲が浮かぶ。夏空に相応しい真っ白な雲だ。形を色々と変えながらゆったりと流れている。今日の時の流れのように気持ちよくノンビリと頭上を過ぎていく。荒々しい岩と綿のような雲。この雲の姿とこの岩の色はこの一瞬だけのものだ。人間が創ったどんな立派な芸術品も到底及ばない。

 今日は何だか登攀というより岩と戯れている感じなのだ。緊張感が無いと危険なので時々自分を戒める。昔もよく考えたが、岩をよじ登る悦びとは何なのだろう。昔は単に張りつめた緊張感や登り終えた時の達成感が快感だった。今は違う。謎解きのパズルを感じる。岩肌が硬いか脆いか、フリクションが効くのか、自分の技量に合ったホールドやスタンスがあるのかなどの情報を頭の中に駆けめぐらし右に登るか左に登るか、はたまた直登か、気が付かない楽な抜け道が無いかなど考えながら楽しんでいる。決して目的があって岩を攀じるのではない。岩のてっぺんまで行かなくても良い。岩を触って楽しめればそれで満足だ。これも歳のせいだろうか・・・。

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P1030033.jpg 午前中、真ん中辺りを二本ほど登っただろうか、兎に角暑いのだ。Aさんは汗かきで大変そうだし、あたしも飲料水2.5リッター持参だが飲み干してしまいそうだ。登っているより木陰で休息している時間が多いのはやむを得ない。アンパン食べたりオニギリ食べたり、平日にこんな事してられるとは幸せ人間かもしれない。


 午後はレスキューの練習をした。左の画像はAさんがプーリーを使い墜落者を引っ張り上げる準備中です。あたしは少し下で墜落者になりぶら下がっています。長い時間ロープにぶら下がっているとハーネスを付けていても腰に来ますね。交代で練習しながら楽しみました。その後、最後に一本登り早めに切り上げました。

 午後にはこの岩場の主のようなクライマーが一人やってきてトップロープを垂らしソロで登っていましたが、そのうちよほど暑いのか中段の木陰のあるテラスで読書を始めました。こういうクライミングもあるのかとホトホト感服しましたネ。人それぞれ楽しみ方があるということでしょうか。ガツガツしないというか出来ないのか、こういうクライミングも捨てたものじゃないと愚考しました。暑かったが楽しい一日を過ごせて感謝、感謝です。



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篭ノ塔山 2009-8-22 (土 ) 曇り後晴れ [山行記録2009年]


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P1020833.jpg 今日は2000 Mの稜線ハイキングだ。天気も良くなりそうだし、何よりも涼しいのが良い。総勢21名の大所帯だ。
高峰温泉出発―8:40。

 この辺りの標高は1949M。冷夏の影響もあるようだが、涼しい。手軽に2000 M超えの稜線を歩けるのは嬉しいものだ。


 コースは高峰温泉駐車場→水ノ塔山(2202 M)→東篭ノ塔山(2228 M)
→池の平湿原→三方ヶ峰(2040 M)→見晴岳(2095 M)→地蔵峠駐車場。
標高差は約500 M程なので我々中高年の男女にも相応しいと言える。

 霧の中、水ノ塔山を目指し緩やかな尾根を辿る。小一時間ほどで水ノ塔山山頂に到着するが霧に視界を奪われている。山頂は木々が多く晴れていても絶景とはいかないようだ。谷から霧が次々と送り出されてくる眺めにも山の高さが感じられ、Tシャツを拒むかのように冷たい風が吹き上げてくる。
早々に東篭ノ塔山を目指し出発する。風が霧を追い払い突然、東篭ノ塔山が近くに見えだした。

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P1020859.jpg 青空も現れ、適度な雲と霧が織りなす光景がなんともいえない風情を醸し出している。心地よい風と霧の夏山らしい稜線を踊るような足取りで行く。
振り返ると先程辿ってきた水ノ塔山が雲の中に浮かんで取り澄ましている。
東篭ノ塔山山頂着―10:45。



 今朝は5時半出発なのでお腹が空いた。
少し早いが予定通り昼食となる。山頂は広くて、お弁当を広げるには最適だ。澄み渡った大気の中で食べるとコンビニで買ったオニギリも贅沢な味を演出する。

P1020870.jpg 西篭ノ塔山も指呼の間に見え夏の青空もすがすがしい。何を考えるというのでもなしに、山頂から周りを見回していると遠い記憶の片鱗に触れた。

 学生時代に北アルプスから見たあの空の色だ。雲の切れ目から見える夏の天に昔の仲間の顔が想い浮かぶ。私にとってはかけがえのない尊い記憶でもある。

 誰もが持っている青春時代の感傷と言ってしまえばそれまでだが、戻ってくるはずのない青春を、老いてしまった今、ふたたび取り戻したい空しい切望が胸を締め付ける。

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 ↑ 水ノ塔山の奥には蛇骨岳、黒斑山、浅間山も遠望でき雄大な眺望を堪能する。

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 名残惜しいが池ノ平に向けて出発―11:40。
約30 分ほどの緩やかな下りで池ノ平入り口駐車場に到着。駐車場の管理事務所で池ノ平湿原のパンフレットをいただく。池ノ平の木道の両側には高山植物が咲き乱れている。ついつい歩き方も優しい足取りになるのは否めない。

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P1020965.jpg 池ノ平湿原は浅間山の噴火によってできた湿原で高山植物も1000種類以上あると言われている。自然保護のため木道も少ないが、のんびり歩くにはアップダウンもなく実に快適な気持ちの良いところだ。
湿原を取り巻く浅間の山並みが湿原の景色を演出している。それがなければ惨めな風景色になってしまうことだろう。


 三方ヶ峰から見晴岳にかけては柵やネットが設置されている。コマクサなどの高山植物を守るためだと言うが、あまりにも厳重で露骨な感じがして気分的には良いものではない。・・・が結果的には湿原散策者やハイカーのマナーの悪さが招いた産物だから文句の言える筋合いではない。

 山での行為は自由でありたいがそんな単純なものではない。このように自然保護のため歩く場所も限定されている場合もあるし、テントを張るにも指定される。また親しい仲間同士で歩いても何かと気を遣うものだ。集合時間や出発時間、コースの選定など自分の気儘や我が儘が許されることは滅多にない。
自然が一杯の山だって人間界の掟やルールが適用され、ある一定の条件の下でのみ行動が許されるのだ。 地蔵峠駐車場着―14:25。



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藤坂ロックガーデン 2009-8-7 (金 ) 曇り [山行記録2009年]


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20090807-5-1.jpg 今日は趣向を変えてクライミングです。ネットコミュニティーで知り合った方と一緒です。

 懐かしいですネー・・・
この岩肌の感触。
場所は栃木県の藤坂ロックガーデンです。

 この岩場は古くからフリー化されていましたが、10年ほど前からグランドジョラス・ウオーカー稜ソロ第2登の斉藤さんという方が中心になり駐車場も含め再開拓されたようです。佐野藤岡ICからも近いわりに自然が一杯で静かだしルートも50本ほどあるようです。

 ありがたいことです。大変な時間と労力が費やされたことでしょう。新しいボルトも見受けられ定期的な善意の保守点検が感じられますが、逆にクライミングは言うまでもなく自己責任の世界だということも再認識させられました。

 朝、7時前に自宅を出ましたがそろそろ夏休みのせいか、市街地も高速道路も混雑気味。約束の待ち合わせ場所である佐野藤岡IC近くの道の駅“みかも”に到着したのが約束の時間8時30分ギリギリ。

 Aさんも程なく到着。いつ降り出しても不思議でない空模様だ。約20分程で岩場麓の駐車場に到着。車も7~8台置けそうだ。側に沢もあり水も利用できるが飲み水としては・・・?。駐車場から歩いて5分ほどで岩場の基部に到着する。

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 今日は我々二人だけの貸し切りとなりそうだ。天気はなんとか持ちそうだが無風で蒸し暑くて適わない。Aさんに支点の取り方やプロテクションの掛け方などフリークライミングの基礎を教わった。安全の認識度に昔と相当な開きを感じました。Aさんは経験豊かで、レスキューなども修得されているエキスパートです。

 よじ登るということでは昔も今も大きな変わりはありませんし、クライミングジムの延長です。まぁー、道具は昔と違いスゲー進化ですが・・・。
最近の用具を色々と買い揃えて持っていってチェックして貰いましたがヌンチャクは12 ㎝では少し短いようです。登ってみて良く解ったのですが、昔のアルパインと違いプロテクションが多い分ロープの流れが悪くなります。20~30 ㎝も数本必要です。昔はカラビナ単体をハーケンやボルトに掛けザイルを通していました。ザイルの流れが悪い時は捨て縄などをハーケンやボルトの孔に直接通してカラビナを掛けていました。今、思い出すとオッソロシィーれす。

 それにしてもここの岩はフリクションが良く効く。初めはアプローチシューズで登ったが驚いた。何・・・?この吸い付き方は・・・。次にクライミングシューズで登ったがフント驚いた。ジムで登っていた時はあまり感じ無かったが実際の岩場ではもっともっとスゲー。びっくり~で~す。フント! 登攀用具で一番進化したのは多分シューズだと感じました。小さな外傾スタンスでも不安を感じさせない。「昔、こんな靴があったらなぁー、あんなところで落ちなかったのに・・・」 なぁーんて一瞬考えてしまいましたね。

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 ビレー器(ATCガイド)で懸垂下降をしてみた。ラペリングというようです。実に快適です。昔の内股と肩を使った懸垂・・・。首に火傷したことあったっけ。これなら空中懸垂も安全で楽です。
朝の9時半からお昼を挟み午後4時過ぎまで驚きの連続でした。

 用具はクライミングジムで使っている時と違い岩場では本領を発揮します。やはり室内ジムと違い外岩はエエもんだ。

 午後には墜落した時の自己脱出法やレスキューなども教わり充実した一日でした。つい数ヶ月前まではこの歳で再度岩登りなどできるとは全く考えていなかった。夢の中の夢とは思っていましたが・・・。今は昔の物語の彷彿ですね。
今日は最後まで雨にも降られず、一日中貸し切りの楽しい一日でした。Aさんには感謝、感謝で~す。

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 それにしても道具の長足の進化にはトホホで感激しました。
あたしにとってはフリーであろうとアルパインであろうと特にこだわりはありませんがフリーで開拓された岩場はフリーで登るべきでしょうね。アイゼン練習するなら別にルートを開拓することになるのでしょう。それがフリールートの開拓者への礼儀だと思いますが、浦島太郎のあたしなどには考える資格など無いのかもしれません。

 Aさんは「フリークライミングに年齢制限は無い。」といいますが、鏡の前で開脚して角度を測ると何とか100度ギリギリですね。普通の人では110度、クライミングするには最低で120度は必要で、理想は180度となります。思わず股間を押さえてしまう数値です。なんにもお菓子い事あら片でぇー。クライミングジムでも、もう少し股関節が柔らかければなぁーと感じます。最近、スポーツジムでマシーンを使い強制的に股関節を柔らかくしょうと努力していますが、先日痛めてしまい逆効果でした。やはり年齢相応で無理はダメですねー。

 フリークライミングも 5.8をリードで登れれば充分満足です。それでも今後の登山のレパートリーが増えるでしょう。昔のカケラも無いあたしですが、後2~3年は山登りを楽しみたいので節制して体力づくりをしょうと決心しました。体重も 3キロは落とさなくっちゃ・・・。体脂肪率が現在17ですから10を目標とします。脚力は歳の割にはあるほうです。やはり手の肘から先の筋肉の強化ですね。といっても、あたしなど筋肉ないもんね。
手首、パーム、指先など、この歳で・・・・・???。
まぁー、駄目モトと考えていますがネ。(へ_へ;)



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霧ヶ峰高原 2009-7-18 (土 ) 雨 [山行記録2009年]


 確か、数日前に梅雨明けしたとか聞きましたが、今日も鬱とおしいお天気です。梅雨明け宣言が外れても気象庁は『戻り梅雨ですネー』とかホニャラフニャラ言えば済みます。何の痛痒も責任も感じないのでしょう。

 本日、梅雨があけました。」なぁーんて言われると、昔の定説では梅雨明け後の一週間は天気が安定していると言われていたので、こっちもついその気になってしまいます。環境破壊による異常気象が勃発している地球なのに梅雨があけたら急にシャンシャンと太陽が輝く夏を想像させるような梅雨明け宣言はよろしくない。もう少し婉曲的な表現で「そろそろ梅雨が明け、夏になりますが局地的には大雨も予想されますのでご注意下さい。尚、今夏は全国的に冷夏の傾向にあります。ホンニャラフニャラ・・・」でもエエと思いますが、お役所だからそうもいかないのかもネ。

 今日は霧ヶ峰高原の散策です。老若男女20名の月例ハイキングです。三連休の初日のためか雨にもかかわらず駐車場は満杯状態です。
雨の中、車山肩の駐車場を出発―9:25。

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 今日のお目当ては高原一面に咲くニッコウキスゲを代表とする高山植物ですが黄色の絨毯というほどの光景ではない。雨のせいで開花が少し遅れているのか鹿の食害なのか、はたまた開花の当たり年でないのか・・・昔、見た情景とは違った印象だ。登山道というか遊歩道は幅も広く緩やかに山頂まで続いている。ところところでニッコウキスゲが群生していて三脚を持ったアマチュアカメラマンが写真撮影に余念がない。

 久し振りの雨のハイキング。雨も霧も同じようなものなので別に苦にはならないが夏の涼しく爽やかなあの高原の居心地の良さを感じられないのが残念だ。霧ヶ峰は諏訪湖との標高差による上昇気流により霧も発生しやすく雨も多いようだ。40分程歩くと車山山頂のレーダードームがボンヤリと浮かび上がってきた。

P1020731.jpg 車山(1925m)山頂到着―10:00。
天気が良ければ北、中央、南アルプス、御岳、八ヶ岳、富士山、近くには蓼科山と圧巻、絶景のパノラマとなるはずだが・・・。見えるのはこの場に相応しくない観測所気象レーダードームの姿だけ。
リフトを乗り継げば誰でもここまで登れるため傘をさした観光客も多い。




 暫しの休憩後、蝶々深山、八島高原方向に出発。歩きにくい丸太の階段を下ると八島高原への分岐に到着。ここからもう少し下って少し登り返すと蝶々深山(1836m)の山頂に着いた―11:15。


 相変わらずの雨だが風が出てきた。この様子だと午後、晴れ間が出るかもしれない。天気がよければこの辺りは見渡す限り高原が広がり、ニツコウキスゲなどの高山植物が咲き乱れた贅沢な風景が楽しめるはずなのだが。

 振り返って車山の優美な姿をイメージし、蝶々深山を後にする。熊笹の道をダラダラと下っていくが、ぬかるんだドロンコ道だ。靴もスパッツもドロドロの真っ黒け。火山性土壌のためか真っ黒なドロだ。今日は登山靴でなく、朝の散歩用のトレッキングシューズなので水でジャブジャブ洗えるのが救いだ。やがて物見岩がある場所に到着。一応、ピークなのか1792mのようだ。晴れていれば眼下に八島ヶ原湿原を見渡し遠くには北アルプスも眺望できるはずだが。

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 物見岩から八島ヶ原湿原に向かいなだらかなドロンコ道を下る。下りきったところにトイレがありその少し先の台地で昼食とする―12:15。

 霧は相変わらず晴れないが雨は止んだようだ。なぁーんにも見えない場所なので食事も早々にして八島ヶ原湿原に向かう。途中、小さな沢を越えると道も広くなり、ようやくドロンコ道から砂利道になりやがて木道になる。木道は湿原と池に沿って続いている。カメラを持った観光客もチラホラと見受けられ、駐車場も近そうだ。霧も少し晴れてきたので景色も楽しめる。晴れていれば素晴らしい景色だろう。花の時期はまだこれからと言う感じだがそれなりに絵になる風景だ。湿原に沿って20分も木道を歩くと八島高原駐車場に到着―12:55。

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 霧ヶ峰や美ヶ原は尾瀬と比較するとあまりにも観光地化されている。特にこの霧ヶ峰は貴重な湿原もありもっと自然保護するべきだ。湿原と観光道路が近すぎるしキャンプ場などの施設もあり、いずれは荒廃が進み自然破壊に繋がりそうです。長野県のオエライサンはもっともっと自然保護に力をいれんとネ。尾瀬を見習いなしゃい。・・・とかなんとか偉そうなこと言って・・・m(_ _)m。

 今日は山歩きというより散策といったほうが良いかもしれない。安全、無事がなによりだ。

 一昨日の北海道大雪山系トムラウシ山での大量遭難、哀しいことです。あたしのような年齢の方が多かった。働くのを終えてこれから残りの余生を楽しもうという方もいたことでしょう。残念な事です。謹んで哀悼の意を表します。
しかし、ツアー登山というか、ガイド付き登山なのか・・・無謀過ぎる。予備日なしであのコースの縦走、しかも高齢者に近い男女、経験の少ないガイド・・・。北海道の2000mは北アルプスよりも厳しいのは常識です。またコースは稜線が多く雨風を凌ぐ場所もないし、エスケープできるルートも少ない健脚向きのルートです。ツアーを主催した旅行会社は徹底的に糾弾されるべきです。

 赤信号みんなで渡れば怖くないは登山では通用しません。車と違い相手は自然です。自然が獰猛なとき、登山者はただひたすらに堪え忍ぶだけです。亡くなった方にムチ打つつもりは毛頭ありませんが一人一人が堪え忍ぶ体力、装備、経験などを持っていたか疑問です。団体登山の盲点です。条件が良ければ自分の能力以上の山行が手っ取り早くできる。ツアー登山は百名山達成などでの大きな選択肢にもなっています。

 ツアー登山、大半のメンバーはみんなにくっついて行けば良いと考えて参加しています。お互いに見知らぬ同士で連帯意識もない。パニックになればバラバラの行動を取る。今日のハイキング程度ならこれでも通用するかもしれません。しかし、最低でも予めコースの内容を吟味し天候も調べ、装備も確認し帰宅予定時間また、問い合わせ先なども家人に話しておくのが常識です。また、安全第一の観点からも時間は二の次です。飛行機の時間や参加者からの日程通りの要望でガイドは無理をしたのかもしれません。遅れると、帰ってからクレームが付くためガイドは無理をするようです。安全上の予備時間を取らないツアーには参加すべきでないし、逆に遅れたからって文句をいうなら参加資格はないでしょう。標準コースタイムは好条件下でのタイムです。登山は遅れても当たり前の世界なのです。

 単独行は必ずしも良いとは言えませんが、用意周到の見地からすれば団体登山のメンバーの心構えとは全く違います。あたしなどは小心なせいもありますが、山行前の計画から始まり天候、装備など徹底して調べます。それでも結果的に気が付かなかったことも多々あります。一番重要なことは当日の健康状態、すなわち体力です。今回の大量遭難は体力の差が生死を分けたようです。歳をとれば若い頃と違い食べてもスグに身体の中で燃焼しません。あたしも最近は行動食にアミバイタルゼリーのような即エネルギーになるゼリードリンクなどを愛用しています。

 山に行く、勿論団体行動は必要ですが自分の命は自分で守る心構えは絶対条件です。今日も全員事故もなく元気で下山でき感謝、感謝です。



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三本槍岳 2009-6-20 (土 ) 晴れ [山行記録2009年]


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 今日は総勢27名で那須へハイキング。天気予報通り、梅雨の中休みで晴れ間が多そうだ。中型の観光バスも満員状態となる。休日1000円のためか大渋滞。茶臼岳へのロープウェイ乗り場を過ぎようやく登山口の峠の茶屋県営駐車場に到着する。梅雨時のためか満車というほどではない。下界はガスっているが山の上は晴れていそうだ。体操後、出発―10:10。

 いつもの狛犬さんだ。こうして良く見ると右の方が少し高い。雪のあるときは右の狛犬さんの頭だけが掘り起こされている。今度冬に来たときは左の狛犬さんの頭も掘り起こしてやろう。今日も無事、下山できますようにと心の中で呟きながら通過する。

 今日の目標は三本槍岳だ。過去、茶臼岳、朝日岳に来ても三本槍岳までは足を延ばさない。遠いということもあるが百名山というのが気にくわない。那須連峰の中では一番高いが、姿、風格、眺望、どれをとっても茶臼岳には及ばないとあたしは思っている。・・・んなことはどうでもエエが、登山道は樹林帯を抜け茶臼岳の北斜面を横切るように付いている。右に谷を挟み朝日岳が見える。朝日岳は見る場所により色々と姿を変え楽しませてくれる。

 この右の谷の林道付近では今冬二人亡くなっている。一人は慰霊登山中雪崩で死亡。今年の2月にはトレーニングのため谷底近くまで下ったが雪崩が起きそうな地形には見えなかった。まぁー、どこで発生するか解らないことも雪崩の怖さとも言える。・・・合掌。

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 ↑ やがて右方向に剣ケ峰、左方向に茶臼岳の噴煙が見えてきた。
この辺り、雪がないとスケールが小さく感じられるのは気のせいか???歳のせいではないれすろ~~。駐車場から約45分、峰の茶屋に到着―10:55。

 避難小屋の周りには沢山のハイカーが休息している。ロープウエイからなら手軽に茶臼岳、朝日岳も往復でき、火山のため森林限界も低く高山の雰囲気も楽しめるので絶大の人気も頷ける。

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 ↑ 混雑しているだろうと思われる茶臼岳方向と反対の朝日岳に向かう。剣ケ峰の右後ろに朝日岳が見える。登山道は剣ケ峰の東斜面を巻くように延びているが冬期は積雪状況によっては使えない。冬は右寄りに雪壁を登り雪庇を避けて稜線を辿るしかないが仮定のルートを目で追うのは楽しい。

 途中、クサリ場などもあり朝日岳の肩に到着する。毎年、クサリや手すりが立派になっている。個人的にはクサリや手すりを設置する必要は全く無いと考えるが安全の見地から鑑みれば致し方のない事だとも思う。

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P1020657.jpg ↑ 肩から見た剣ケ峰だ。冬は稜線から急な雪壁を下降し岩峰を夏道側にトラバースとなりそうだが、雪の状態によっては厳しいかも・・・。
← 肩から見上げた朝日岳。肩から10分ほどで朝日岳山頂に到着する―11:55。
ここから見る茶臼岳は圧巻だ。こうして見ると茶臼岳は登る山ではなく眺める山とも言える。堂々とした雄大な山容だ。

  ↓ あれぇ~~、朝日岳山頂(1896m)の看板が無くなっている。風で吹き飛んだのか、誰かが記念に持ち帰ったのか???小さな祠は昔のままだ。不届き者のためにボルトで固定したほうがエエのとちゃうか? 
ともあれ、山頂からの景色は言うまでも無い。遠くには三本槍岳、旭岳も一望できた。景色を堪能した後、一目散に肩まで駆け下りて昼食となった。風も穏やか、日差しも丁度良し、オニギリ2個だがオカズの差し入れもあり大満足。

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 ↓ 昼食後、三本槍岳に向けて出発。振り返ると朝日岳、茶臼岳が迫ってくる。なだらかな稜線を辿り、左に熊見曽根分岐を過ぎ少し登ったところが1900mの無名峰。見下ろすと清水平の湿原が広がり周りは目に痛いほどの緑したたる絨毯だ。茶臼岳、朝日岳南面のゴツゴツした岩と対照的な緑の起伏には安らぎと憩いすら覚える。遠くには小さな雪田もまだ望見できる。立派な丸太の階段を高距離約100mほど下るとここが清水平だ。自然保護とはいえ歩きにくいことこの上ない階段だ。

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 ↑ この梅雨時にも水がないのに湿原なのだ。草原に近い湿原だろう。火山性地形のため水捌けが良いのかもしれない。湿原の向こうには三本槍岳の優雅な姿が見える。

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 ↑ イワカガミ、シャクナゲ・・・ホニャラフニャラ・・・よく解りませんが先週の阿弥陀岳でも見かけた。清水平からは緩やかな灌木帯を縫って進む。熊笹に混じり、強風のためか気の毒なほど湾曲した這い松も見受けられ楽しい。この辺り、林道かと見間違うほどの立派な登山道が付いているところもあれば流水のため深く抉れて歩きにくい箇所もあり面白い。

P1020696.jpg  ← 三本槍岳麓から見た旭岳です。
旭岳という山名は全国各地にあるようです。有名なのは北海道大雪山系の主峰です。富山県の魚津市や黒部市から見える旭岳も立派です。確か、北八ヶ岳方面にもあったと記憶しています。福島県にあるこの旭岳の山容もなかなかのものです。秀峰と云えそうです。甲子温泉に泊まって登るのも良し。

 地図には登山道の記載はないが甲子峠から登山道もあるようです。雪が付けば素晴らしいピラミッドの姿になるでしょう。

P1020700.jpg ← 20分ほど這い松や熊笹に囲まれた急坂を登ると三本槍岳頂上に到着
―13:45。
坂の途中で蛇がニョロリと出たようでしたがあたしも見たかったなぁー。今年、まだ見てないもんネ。頂上はなだらかで広く、360 度の大展望です。山名は解りませんが兎に角周りは全部山です。三本槍のウンチクれ~~す。

 この辺りの三藩が昔、藩境を確認した証に毎年槍を立てたとかホンニャラ・フニャラ。詳しく知りたい方はネットで調べてくらさぁ~~い。山名に反してなだらかなお椀状の山容です。茶臼岳が1915 m、三本槍岳が1917 m・・・たった2mの違いで一等三角点ありの百名山とは茶臼岳が可哀相。まぁー、どうでもエエけれど。山頂からの眺望を堪能したので下山開始。

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P1020710.jpg ↑ 旭岳の南面です。ミニ赤岳西壁という感じもする。大同心、小同心はないけれど・・・。積雪期に是非訪れたいが、ルートか解りません。解ったとしても一人では怖くて登れません。とかなんとか・・・冬のルートを想像しながら歩くのは楽しいものです。下山するに従い周りの景色もゴツゴツした赤茶けた岩から鮮やかな緑に変化する。変化が大きいので感動も大きい。

 山はさまざまな表情を登山者に投げかけている。登山者も若者、老人、男、女、と色々であり、さまざまな感情を山に投げかける。若者の中にある老人の感情は三本槍岳の穏やかな姿かもしれないし、老人の心の中にある若い感情は朝日岳のゴツゴツとした南壁かもしれない。

 山には春夏秋冬さまざまな表情がある。また、その日の天気でも大きく表情を変える。今、下山中の山路もこの一瞬だけの表情を見せている。次に同じ季節に訪れても同じ表情に出会うことはない。一瞬一瞬の画像を頭に焼き付けながら駐車場へ下る。無事、駐車場着―16:20。

 今日も一日楽しいハイキングでした。梅雨の間の晴れ間にあたりラッキーでしたネ。総勢27名、事故、怪我もなく元気に下山でき感謝・感謝です。

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